2017年
12月
02日 19:00
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熱心な議論の末,2010年秋に本邦ではじめて甲状 腺腫瘍のガイドラインが完成した 推奨グレード A:放射線被曝(被爆時年齢19歳以下、大量)は明らかなリスクファクターである
日本の「甲状腺腫瘍診療ガイドライン」: 使命, 開発, 未来像
引用
使命
近年,わが国においても基幹学会の指導のもと多くの診療ガイドラインが作成され,日常臨床の場で規範として普及し定着しつつある。甲状腺腫瘍においては国内外を通じて質の高いエビデンスの蓄積が少なく,さらにアイソトープの利用面などで分化癌
の治療方針が諸外国と異なっていること1)から,ガイドライン作成は見送られてきた。しかし「内分泌・甲状腺外科専門医制度」の誕生を契機にガイドライン作りの機運が高まり,日本内分泌外科学会と日本甲状腺外科学会が中心となり甲状腺腫瘍の診療ガイドラインを作成することになった。
このガイドラインの目的は「わが国で行われている甲状腺腫瘍の診療を基礎にエビデンスに基づいたガイドラインを作成し現状での標準診療を明らかにすると共に,将来に向けてあるべき理想の診療方法を提示すること」であり,これにより「甲状腺腫瘍に悩
む患者の健康アウトカムを高めること」である。
甲状腺腫瘍は内分泌腺に発生する腫瘍として最も多く,その診断と治療には専門的な知識と技術を必要とする。しかし,十分なエビデンスがないことにより専門医の間でも診断法や管理方針の判断にはばらつきが認められる。一方,最もありふれた内分泌疾患であるがゆえに,専門としない臨床医が対応することも多く,診療のばらつきは妥当な範囲を超えてしまう可能性がある。これらのことは,甲状腺癌の見逃しあるいは過少治療を招き,癌の再発や癌死を増加させる,あるいは過大治療に伴う合併症により治療後の生活のQOLを大きく損ねる,といった健康アウトカムの悪化をもたらす可能性がある。このような状況を改善し甲状腺腫瘍診療の均てん化を図ることが本ガイドラインの大きな使命である。
また,先に触れたごとく本邦では131Iの内用療法が行える施設が限られており,諸外国のように分化癌の術後にアブレーションが行われることは少ない。
しかし本邦における低リスクの分化癌治療成績は欧米に比べ決して引けをとらないばかりか,高いQOLを保持していると思われる2)。このような本邦独自の診療方針は世界に誇るべきことであり,日本型のガイドラインとして広く世界に発信するのも使命の一
つと思われる。
さらに,すべての医療行為はなんらかの根拠を基に行われているはずであり,甲状腺腫瘍の診療も例外ではない。ガイドライン作成過程でエビデンスレベルが低くとも,その根拠をできる限り明らかにすることは,甲状腺腫瘍の診療体系を整備し発展させ
るのに大いに役立つものであり,このことも重要な使命であると考える。

甲状腺腫瘍診療ガイドライン2010年版
引用
はじめに
1990年頃に Gorgen Guyatt により提 唱された Evidence―basedMedicine(EBM)という概念は,またたく間に臨床の場に浸透し,EBM を基本とした数多くの疾患診療ガイドラインが誕生した.遅ればせながら甲状腺腫瘍においても2010年に「甲状腺腫瘍診療ガイドライン」が誕生した1)
.甲状腺腫瘍は国内外を通じて質の高いエビデンスは少なく,さらに放射線ヨウ素の利用面などで分化癌(特に乳頭癌)の治療方針が諸外国と大きく異なっていた.このことが遠因となりガイドラインの作成は長年見送られてきた.しかし2008年“内分泌外科学
会・甲状腺外科学会専門医制度”の誕生を契機にガイドライン作りの機運が高まり,日本内分泌外科学会と日本甲状腺外科学会が中心となり,“日本型”のガイドラインを作ることを目標に作成委員会が設立された.
甲状腺腫瘍は内分泌腺に発生する腫瘍として最も多く,その診断・治療に専門的な知識と技術を必要とする.しかし,十分なエビデンスがないことは専門家の間でも診療方針に差異を生み,ありふれた内分泌疾患であるがゆえに専門としない臨床医が対応することも多い.
こうした状況を改善し甲状腺腫瘍診療の標準化を図ることがどうしても必要である.7回に及ぶ作成委員会が開催され熱心な議論の末,2010年秋に本邦ではじめて甲状腺腫瘍のガイドラインが完成した.本稿では,このガイドラインの構成・概要などを示し,さらに内容の一部を紹介する
---------
7回に及ぶ作成委員会が開催され熱心な議論の末,2010年秋に本邦ではじめて甲状腺腫瘍のガイドラインが完成した
↓
推奨グレードAのエビデンス証拠証明
放射線被曝はあきらかなリスクファクターである
↓
2011年3月11日から原発大爆発 ヨウ素放出
日本甲状腺学会「放射線被曝はあきらかなリスクファクターである」と高らかに宣言 半年後 そのとおりとなる
*この流れは知らなかった 7年目の知見
引用
使命
近年,わが国においても基幹学会の指導のもと多くの診療ガイドラインが作成され,日常臨床の場で規範として普及し定着しつつある。甲状腺腫瘍においては国内外を通じて質の高いエビデンスの蓄積が少なく,さらにアイソトープの利用面などで分化癌
の治療方針が諸外国と異なっていること1)から,ガイドライン作成は見送られてきた。しかし「内分泌・甲状腺外科専門医制度」の誕生を契機にガイドライン作りの機運が高まり,日本内分泌外科学会と日本甲状腺外科学会が中心となり甲状腺腫瘍の診療ガイドラインを作成することになった。
このガイドラインの目的は「わが国で行われている甲状腺腫瘍の診療を基礎にエビデンスに基づいたガイドラインを作成し現状での標準診療を明らかにすると共に,将来に向けてあるべき理想の診療方法を提示すること」であり,これにより「甲状腺腫瘍に悩
む患者の健康アウトカムを高めること」である。
甲状腺腫瘍は内分泌腺に発生する腫瘍として最も多く,その診断と治療には専門的な知識と技術を必要とする。しかし,十分なエビデンスがないことにより専門医の間でも診断法や管理方針の判断にはばらつきが認められる。一方,最もありふれた内分泌疾患であるがゆえに,専門としない臨床医が対応することも多く,診療のばらつきは妥当な範囲を超えてしまう可能性がある。これらのことは,甲状腺癌の見逃しあるいは過少治療を招き,癌の再発や癌死を増加させる,あるいは過大治療に伴う合併症により治療後の生活のQOLを大きく損ねる,といった健康アウトカムの悪化をもたらす可能性がある。このような状況を改善し甲状腺腫瘍診療の均てん化を図ることが本ガイドラインの大きな使命である。
また,先に触れたごとく本邦では131Iの内用療法が行える施設が限られており,諸外国のように分化癌の術後にアブレーションが行われることは少ない。
しかし本邦における低リスクの分化癌治療成績は欧米に比べ決して引けをとらないばかりか,高いQOLを保持していると思われる2)。このような本邦独自の診療方針は世界に誇るべきことであり,日本型のガイドラインとして広く世界に発信するのも使命の一
つと思われる。
さらに,すべての医療行為はなんらかの根拠を基に行われているはずであり,甲状腺腫瘍の診療も例外ではない。ガイドライン作成過程でエビデンスレベルが低くとも,その根拠をできる限り明らかにすることは,甲状腺腫瘍の診療体系を整備し発展させ
るのに大いに役立つものであり,このことも重要な使命であると考える。

甲状腺腫瘍診療ガイドライン2010年版
引用
はじめに
1990年頃に Gorgen Guyatt により提 唱された Evidence―basedMedicine(EBM)という概念は,またたく間に臨床の場に浸透し,EBM を基本とした数多くの疾患診療ガイドラインが誕生した.遅ればせながら甲状腺腫瘍においても2010年に「甲状腺腫瘍診療ガイドライン」が誕生した1)
.甲状腺腫瘍は国内外を通じて質の高いエビデンスは少なく,さらに放射線ヨウ素の利用面などで分化癌(特に乳頭癌)の治療方針が諸外国と大きく異なっていた.このことが遠因となりガイドラインの作成は長年見送られてきた.しかし2008年“内分泌外科学
会・甲状腺外科学会専門医制度”の誕生を契機にガイドライン作りの機運が高まり,日本内分泌外科学会と日本甲状腺外科学会が中心となり,“日本型”のガイドラインを作ることを目標に作成委員会が設立された.
甲状腺腫瘍は内分泌腺に発生する腫瘍として最も多く,その診断・治療に専門的な知識と技術を必要とする.しかし,十分なエビデンスがないことは専門家の間でも診療方針に差異を生み,ありふれた内分泌疾患であるがゆえに専門としない臨床医が対応することも多い.
こうした状況を改善し甲状腺腫瘍診療の標準化を図ることがどうしても必要である.7回に及ぶ作成委員会が開催され熱心な議論の末,2010年秋に本邦ではじめて甲状腺腫瘍のガイドラインが完成した.本稿では,このガイドラインの構成・概要などを示し,さらに内容の一部を紹介する
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7回に及ぶ作成委員会が開催され熱心な議論の末,2010年秋に本邦ではじめて甲状腺腫瘍のガイドラインが完成した
↓
推奨グレードAのエビデンス証拠証明
放射線被曝はあきらかなリスクファクターである
↓
2011年3月11日から原発大爆発 ヨウ素放出
日本甲状腺学会「放射線被曝はあきらかなリスクファクターである」と高らかに宣言 半年後 そのとおりとなる
*この流れは知らなかった 7年目の知見
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